
チントレ(チンコトレーニング)でPC筋を鍛えて『勃起力アップ』や『ペニス増大』というのを見たり聞いたりして実践している方も多くいらっしゃるかと思います。
しかし、実際にはPC筋を鍛える事で『勃起力アップ』や『ペニス増大』に繋がる事はありません。
では、なぜPC筋を鍛えて『勃起力アップ』や『ペニス増大』を実現しようといった話があたかも真実かのようにインターネット上で拡散しているのでしょうか。
本記事では泌尿器科学会認定の専門医がPC筋とは何か、その機能を医学的根拠に基づきわかりやすく解説することで、PC筋が「勃起力アップ」や「ペニス増大」に繋がらない2つの理由、そしてPC筋を鍛えることで実際に得られる効果について詳しく説明します。
目次
1. PC筋とその機能
PC筋(pubococcygeus muscle:恥骨尾骨筋)は、肛門挙筋(levator ani muscle)群の一部で、具体的には恥骨直腸筋、恥骨尾骨筋、腸骨尾骨筋の3つから構成されます。
その名の通り、恥骨と尾骨という骨に付着している筋肉で、骨盤内の臓器を支える重要な役割を担っています。
その役割は明確に分かっている訳ではありませんが、PC筋だけでなく肛門挙筋全体で前立腺,尿道,直腸を包み尿禁制(尿漏れしない様に防ぐ機構)に関与するという主張が大半です。ちなみに女性ではオルガスムスに関与すると言われています。
また射精にも関与しているのではないか?という主張する専門家もいますが解明には至っていません。重要なのは世界中のどの研究結果や論文を見ても『勃起力アップ』や『ペニス増大』に関与するというというエビデンスは存在しないことです。
2. PC筋を含めた骨盤底筋の訓練は尿もれの対策として広く行われている
上記のように、PC筋を含めた骨盤底筋の訓練は、主に尿もれ(尿失禁)の対策として広く行われています。
本章では、まずPC筋を含めた骨盤底筋の訓練の実施方法 を解説し、続いてPC筋を含めた骨盤底筋の訓練のメリット・デメリット について、最新の医学的知見や論文をもとに詳しく説明します。
2-1. PC筋を含めた骨盤底筋の訓練の実施方法
骨盤底筋群の訓練は、いわゆる「ケーゲル体操」として知られています。実施方法は以下の通りです。
※ ペニスの増大について知りたい方は読み飛ばして構いません。
STEP1 : 正しい筋肉を確認しましょう
まず排尿中に、途中で一度尿を止めようと力を入れてみてください。そのときにぎゅっと締まる感覚がある筋肉、これがPC筋を含めた骨盤底筋です。(※練習としては実際に排尿を止めるのではなく、この感覚を覚えるだけで十分です。)
STEP2 : トレーニングを始めましょう
正しい筋肉を確認できたら、いよいよトレーニングです。
① PC筋を含めた骨盤底筋を ぎゅっと締めて5秒間キープ します。
② 次に ゆっくりと力を抜いて5秒間休め ます。
この締める・緩めるを 10回で1セット、1日3セット程度を目安に行いましょう。
※重要なポイント:腹筋や太もも(大腿)、お尻(臀部)に力が入らないよう注意してください。使うのはあくまで骨盤底の筋肉です。
2-2. PC筋を含めた骨盤底筋の訓練のメリット・デメリット
メリット
・前立腺手術後や加齢による尿もれ(尿失禁)の改善 [1]
・骨盤内の臓器(前立腺、膀胱、直腸など)の支持力強化 [2, 3]
・射精制御や性機能の補助的改善(早漏対策の一部として) [2]
・女性では産後の尿もれ改善、膣の支持力強化、骨盤臓器脱の予防 [4]
参考文献
[1] Abrams P, Andersson KE, Birder L, et al. (2009). Conservative management of urinary incontinence in men. J Urol. 182(5):2006–2014.
[2] Thompson JA, O’Sullivan PB, Briffa NK, et al. (2006). Assessment of pelvic floor muscle function and strength in men. Neurourol Urodyn. 25(3):196–204.
[3] Stafford RE, Ashton-Miller JA, Constantinou CE, et al. (2012). A new method to quantify male pelvic floor displacement and its application to assess voluntary pelvic floor muscle contractions during urodynamic studies. Neurourol Urodyn. 31(7):1226–1232.
[4] Bø K, Frawley HC, Haylen BT, et al. (2017). An International Urogynecological Association (IUGA) / International Continence Society (ICS) joint report on the terminology for the conservative and nonpharmacological management of female pelvic floor dysfunction. Int Urogynecol J. 28(2):191–213.
ここで注目なのは早漏対策の一部としてのメリットです。
PC筋を含む骨盤底筋群は、射精の過程に関与する筋肉の一部です。具体的には、射精時に尿道球海綿体筋(bulbospongiosus muscle)や外尿道括約筋(external urethral sphincter)がリズミカルに収縮し、精液を尿道内に送り出す運動が起こります。
このとき、骨盤底筋群をうまくコントロールできると、射精反射をある程度抑制できる可能性があると考えられています。
骨盤底筋(特にPC筋)を意識的に収縮・弛緩できるようになると、射精直前の感覚(いわゆる“ポイント・オブ・ノーリターン”)に気づきやすくなり、筋肉の力でタイミングを調整する補助ができるとされています。
但しこの分野はまだ研究が限定的で、尿失禁の改善に比べると高いエビデンス(大規模RCTなど)は整っていません。骨盤底筋訓練だけで「早漏が完全に治る」と過信するのは危険です。
現時点では確立された早漏治療を受けられるのが良いでしょう。
デメリットと注意点
・腹筋、太もも(大腿)、お尻(臀部)など別の筋肉に力が入ると正しい効果が出ない [2, 3]
・無理にやりすぎると骨盤底の緊張が高まり、骨盤痛症候群を悪化させる可能性がある [2]
・即効性はなく、効果が出るまでに数週間〜数か月かかるため、継続が必要 [1, 4]
・不適切なやり方を続けると逆効果になる場合があるため、正しい方法を学ぶことが重要 [2, 3]
3. PC筋を鍛えても少なくともペニスは大きくならない2つの理由
ここまで、PC筋を含めた骨盤底筋の基本的な役割やトレーニングのメリット・デメリットについて解説してきました。
では、なぜインターネット上では「PC筋を鍛えればペニスが大きくなる」「勃起力が劇的にアップする」といった誤解が広がっているのでしょうか。
この章では、泌尿器科専門医の立場から、PC筋を鍛えても少なくともペニスの物理的サイズは大きくならないと断言できる、2つの明確な医学的理由を詳しく説明していきます。
3-1. PC筋はペニスのサイズに無関係
説明してきましたとおりPC筋(恥骨尾骨筋)は、骨盤底筋群の一部として骨盤内の臓器を支え、排尿や排便、射精の補助に関与する筋肉です。確かに、これらの機能の一部をサポートすることで性機能の満足度やコントロール感が改善される可能性はあります。しかし、PC筋はあくまで「骨盤内の筋肉」であり、陰茎そのもののサイズ、つまりペニスの長さや太さに直接影響を与える構造ではありません。
ペニスはこの主に(イラストの赤丸で囲まれた)陰茎海綿体と尿道海綿体という血管構造から成り立っています。これらは筋肉ではなく、血液が充満することで膨張する組織です。つまり、筋肉を鍛えて肥大させることでサイズが増える大腿筋や上腕筋のような性質は、ペニスの組織にはありません。PC筋を鍛えても、この血管組織が肥大化したり伸びたりするわけではないのです。
さらに、現在までにPC筋トレーニングと陰茎サイズの増大に関する信頼性の高い医学論文やエビデンスは世界的に存在していません。インターネットや一部のメディアで見られる「筋トレで陰茎が太くなる」といった主張は、科学的根拠のない誤った情報といえます。
3-2. ペニスの増大にはペニスサイズのリミッターであるグランセンサーの解除が必要
3-2-1.ペニスのサイズに関する仕組み
前章でもお伝えした様にペニスは下図の様に『海綿体(赤く囲った部分)』と呼ばれる血管の集合体で出来ています。
ペニスのサイズはこの『海綿体』に血液がどれくらい流入するかで決まります。そして『海綿体』により多くの血液が流れこみ『海綿体』がより膨らむ事でペニスは大きくなるのです。
とりわけ、ペニスのサイズに影響力のある海綿体は、このうちの2つで下のイラストにある様に『陰茎海綿体』と呼ばれます。
つまり
なのです。
そして、ペニスにはこの『陰茎海綿体の膨らみ(=ペニスの大きさ)』にはサイズを制限するリミッターが存在します。下のイラストをご覧ください。
ペニスの『長さ・太さ』に関するリミッターはこのグランセンサーです。そしてグランセンサーはペニスのサイズに関する約10ヶ所程度のリミッターの総称です。その中には下記画像の様な陰茎中隔などが含まれます。
この陰茎中隔を解除する方法は下のイラストの通りです。
その壁、取り除いても大丈夫なの?
問題ございません。
実は、陰茎中隔というのは本来、
この陰茎中隔の様なリミッターがペニスには10ヶ所程度存在し、グランセンサー解除法ではその全てを解除します。
※ ご来院時にはグランセンサーを解除することで海綿体への血流が増加し実際にペニスが大きくなっていく写真を用いてご説明させて頂きます。またグランセンサーは神経では有りません。役割としてはペニスのサイズに関する制限のみですので、本手術が行なわれてきた約30年間において何かトラブルが起こった事はございませんのでご安心下さい。
カズ博多クリニックでは、このグランセンサーを解除する長茎・増大術を行なっています。
子供の頃に比べて大人になるとペニスは大きくなります。これは思春期に分泌されるホルモンの影響です。その際に大きくなりすぎないようにするグランセンサーが存在する為、一定の大きさで成長は止まってしまいます。なおこのグランセンサーには医学用語が別にございますが企業秘密で伏せております(※)。
そして、これらの制限を解除し海綿体の膨らみを大きく出来るのが手術だけなのです。ですので、ペニスを大きくするには手術しかありません。
世に多く出回っているその他の方法(チントレ・サプリ・器具・グッズ)では海綿体の大きさを変えることができない為、効果が有りません。詳しくは下記記事に記載していますので参考にしてみて下さいね。
次章以降ではペニスを実際に大きく・長くする医学的に正しい(安全かつ効果的な)手術をご紹介するとともに、世の中に横行するリスクの高い避けるべき手術も併せてご紹介させて頂きます。
3-2-1. ペニスを大きく・長くする医学的に正しい手術方法
下記にご紹介するグランセンサー解除法であれば、海綿体の膨らみを大きくすることが可能で、ペニスを長く、太くできます。また、この手術方法は唯一、勃起時のサイズアップも可能です。
グランセンサー解除法(長く・太くする手術)
上記しました思春期にペニスが大きくなりすぎないようにしているグランセンサーを手術で取り除いてあげる、もしくはその位置をズラしてあげる事で、大きくなります。
と言ってもご自身が本来持つ、大きさになると言った方が正確でしょうか。どのセンサーを手術するかで長茎(長くする)となるか増大(太くする)となるか決まります。
つまり、この手術は長茎術(長くする手術)にも、ペニスの増大術(太くする手術)にもなるのです。
このセンサーを取る事でなぜ太く、長くなるのかイマイチ分りません。
パンパンに中身が詰まったソーセージを考えてみて下さい。
ただソーセージとは言っても常に中身がポンプで送られてくるパンパンに中身が詰まったソーセージです。
ソーセージの皮を縦に切ると中身が出て太くなります。では帯状に1周、ソーセージの皮を切ったとすると、また中身が出てきてグンと長くなるのがお分り頂けますでしょうか。
ただ、その際に太くもなります。つまり本手術は太くなる増大術と長くなる長茎術は表裏一体なのです。太くだけなる、長くだけなる、という事は有り得ません。
グランセンサー解除法についてより詳しく知りたい方は下記記事をご覧下さい。
またペニスの増大手術ではさらに効果を出すべく、下記にご紹介するもう一つの手術を組み合わせます。
手術なのでリスクはゼロには出来ません。特に血管が豊富な場所を手術する為、繊細な操作が求められます。しかし適切に手術を行いますので、術後に何か問題が起こった事はございません。
また費用を抑えるためにもペニスサイズのリミッター10ヶ所の全解除ではなくバック筋膜を含めた3ヶ所を解除するバック筋膜手術(40万円:税別)もございます。こちらも包茎手術が手術内容に含めれておりますので費用を抑えてペニスをサイズアップしたい。もしくは包茎手術がメインで、ついでにペニスも少し大きくしたいといった方にオススメです。
4. PC筋のチントレが『勃起力アップ』に効果がある可能性はある
ここまで、PC筋を鍛えても陰茎のサイズそのものが大きくなることはないと説明してきました。しかし、「勃起力」という観点では、PC筋のトレーニング(いわゆるチントレ)が間接的な効果をもたらす可能性はあります。
勃起は、主に陰茎内の海綿体に血液が流入し、静脈の流出が抑えられることで維持されます。このとき骨盤底筋群、特にPC筋や球海綿体筋(bulbospongiosus muscle)が収縮することで、陰茎根部の圧力を高め、血液のうっ滞を助ける補助的な役割を果たしていると考えられています。
具体的には論文などで以下のような可能性が指摘されています:
PC筋の収縮によって、勃起中の血液の保持がサポートされる(Stafford et al., 2012 [1])
骨盤底筋の強化で、性的興奮時の筋肉の反応性が向上し、勃起の持続感が改善する(Dorey, 2007 [2])
特に中高年男性や前立腺手術後の患者では、骨盤底筋トレーニングが勃起機能改善の補助になることがある(Dorey et al., 2004 [3])
ただし、重要なのは PC筋を鍛えることで「ED(勃起不全)が完全に治る」と誇張するのは誤り という点です。
泌尿器科領域の標準治療としては、勃起薬であるPDE5阻害薬(シルデナフィル、タダラフィルなど)が第一選択であり、骨盤底筋訓練はあくまで補助的な位置づけです。
また、現在のところ、健常な若年男性がPC筋を鍛えただけで勃起力が劇的に向上するという科学的証拠は確立されていません。あくまで「補助的な効果が期待できる可能性がある」という位置づけです。
5. まとめ
ここまで、PC筋を含む骨盤底筋の基本的な機能、トレーニングのメリット・デメリット、そしてよく誤解される「PC筋トレによるペニス増大」について、泌尿器科専門医の立場から詳しく解説してきました。
重要なポイントとして
① PC筋を鍛えることで得られる効果は、尿もれ予防や性機能の補助的改善(射精制御・勃起維持の補助)といったものであり、筋トレによってペニスそのものの長さや太さが物理的に大きくなることはありません。これは、陰茎のサイズが筋肉ではなく、陰茎海綿体という血管組織の膨張によって決まっているためです。
② さらに、PC筋(恥骨尾骨筋)は個人によってその付着位置や筋肉の厚み・発達度にかなりの個人差があります。これは解剖学的な特徴であり、一般的な筋トレや骨盤底筋トレーニングを行ったからといって、誰もが同じように目に見える変化や体感的な違いを得られるわけではないことを理解しておく必要があります。
もし本当にペニスのサイズを大きく・長くしたいと考える場合、唯一医学的に根拠のある方法は、カズ博多クリニックでも行っているグランセンサー解除法(長茎術・増大術)です。この手術は、ペニスのサイズを制限している構造を取り除くことで、陰茎海綿体の膨張を最大化し、長さ・太さを本来の可能なサイズまで引き出す方法です。
一方で、世の中には効果が確認されていないトレーニング法、サプリメント、器具、マッサージなどが多数流通しており、誤った情報に基づいた選択をしてしまう方も少なくありません。正しい医学的知識に基づき、自分に合った方法を選ぶことが、安心で確実な結果を得るための第一歩です。
本記事が、PC筋トレの正しい理解と、ペニスサイズについての科学的な認識を深める助けになれば幸いです。
さらなる詳細やご相談は、ぜひ専門クリニックへ直接お問い合わせください。
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