『うわー、これ、もしかしてこの間の風俗(女性)が原因かなあ』
男性器に何らかの症状が出て、そう思っていませんか?
症状が出れば、いつ頃から出現したかで性病か、そしておおよその病名まで分かります。
とはいえ、潜伏期間(感染から症状が出るまで期間)や症状が似ている性病はいくつもありますが、検査・治療法は異なる為、必ず専門医を受診して正しい診断、治療を行うことが重要です。
そこで今回は泌尿器科学会認定の専門医である筆者が
- 性病の症状が出現するタイミング、考えられる性病
- 検査・治療の方法と費用
などに関して、誰にでもわかりやすく丁寧に解説していきます。
ぜひこの記事を読んで次のアクションに役立てください。
目次
1. 性病の症状が出現するタイミングとは
性病では『感染』=『症状の出現』では有りません。
イラストの様に『潜伏期間』と呼ばれる期間があり、この期間で性病の病原体である『細菌やウイルス』が増殖しているのです。
この潜伏期間は感染した性病によって様々ですが、短いもので『2〜3日』、肝炎やエイズなど長いものでは『数ヶ月〜10年』というものまであります。しかし、多くは性病の潜伏期間は長くても1ヶ月以内ですので安心して下さい。
では各性病の潜伏期間をお示しします。
この期間から逆算するといくつかの性病に絞ることが出来ます。
例えば『感染したとしたら、3日前』となれば『淋病か亀頭包皮炎、性器ヘルペス』のうちのどれかかなあと予想がつきます。
でも潜伏期間だけでは情報不足です。
例えば『感染したとしたら、1週間前』となれば『淋病、クラミジア感染症、トリコモナス感染症、亀頭包皮炎、尖圭コンジローマ、性器ヘルペス』と多くの性病が該当してしまうからです。
そこで、この潜伏期間に『どの様な症状か』も加えるとかなり病名が絞れますし、どんな検査・治療が必要なのか、そしてどのくらい検査・治療費用がかかるのか、おおよそ見当がつけることが出来ます。次章で詳しく見ていきましょう!
※ 参考文献 泌尿器科薬物療法 1st VISIT, 2nd VISIT by メジカルビュー社
2. タイミング、場所別の症状から考えられる性病一覧
前章で『潜伏期間』について詳しく解説しました。ではこの『潜伏期間』に『見られる症状』をプラスして考えられる性病を絞っていきましょう!そうすることでどんな検査・治療が必要なのか、おおよそ見当がつけることが出来ます。
2-1 男性器に症状が出た場合
まずはペニスなどの男性器に症状が出た場合です。
症状、潜伏期間からおおよその病名が分かります。
例えば
『5日前から尿道から膿・分泌物が出る』という方は
『尿道から膿・分泌物が出る』という男性器の症状の項目を見て頂き、5日前からなので『2〜7日』の潜伏期間に該当する為『淋病』かなあと絞る事ができます。
しかしこれはあくまで目安です。性病は診断を間違うと症状が悪化するだけでなく、誰かに移してしまうリスクも高くなってしまいます。必ず病院を受診しましょう。
なお各性病の詳しい【症状・リスク・検査・治療・費用】に関して別記事にてまとめておりますので是非参考にされて下さい。
性病は病気によって症状が出にくいこともあります。この様に症状はないけど、性病を持っている人のことを『キャリア』と言います。
『キャリア』の方は症状が無いため、自分が性病であることを気づかずに性行為によってパートナーや家族に移してしまう危険があります。
症状がなくても、『疑わしいこと』をしてしまった際には検査だけでも受けても良いかもしれません。
2-2 全身に症状が出た場合
次に全身の症状の場合です。こちらも症状、潜伏期間からおおよその病名が分かります。
例えば『1週間前から太ももの付け根周辺に腫れたリンパ節がある』となれば性器ヘルペスが疑わしいと分かります。
しかし、これもあくまでも目安です。性病は診断を間違うと症状が悪化するだけでなく、誰かに移してしまうリスクも高くなってしまいます。必ず病院を受診しましょう。
3. 性病は『検査可能時期』での『早めの検査』が重要
おおよその病名が分かっても安心は出来ません。
泌尿器科(もしくは皮膚科)を受診し早めの検査・治療しましょう。
とはいえ、検査には『検査可能時期』が有ります。
感染してすぐに病院へ行っても検査できません。もう一度下のイラストをご覧下さい。
このイラストの様に
『感染した段階』では病原体は少量すぎて、この時点で検査をしても正確な検査が困難です。しかし潜伏期間中に病原体が増えることで、検査にも引っ掛かりやすくなりますので検査も正確に行えるのです。
ですので、心配だからと言って『検査可能時期』の前に病院に行っても正確な検査ができずに、もう一度病院に来て再検査をすることになりますので注意しましょう!
つまり『検査可能時期』での『早めの検査』が重要なのです。
各性病での検査可能時期を下にお示しします。
※ 参考文献
1) Mckay L, et al.:genital chlamydia trachomatis infection in a subgroup of young men in the UK. 2003; 361:1792.
2) Takahashi S, et al.:Analysis of clinical manifestations of male patients with urethritis. J. Infect. Chemother., 2006;12;283-286.
3) Takahashi S, et al.:Incidence of sexually transmitted infections in asymptomatic healthy young Japanese men. J. Infect.Chemother., 2005 ; 11 : 270- 273.
4) Hirose T, et al.:Clinical study of the effectiveness of a dual amplified immunoassay (IDEIA PCEChlamydia ) for the diagnosis of male urethritis. Int. J. STD. AIDS., 1998;9:414-417.
5) Cook RL, et al.:Systematic Review:Noninvasive Testing for Chlamydia trachomatis and Neisseria gonorrhoeae. Ann. Intern. Med., 2005;142:914- 925.
6) 早川 潤,他:新しい単純ヘルペスウイルス迅速検出キッ トの性能評価.日性感染症会誌,2012;23:119- 123.
7) 小泉佳男,他:女性性器の単純ヘルペスウイルス初感染に おける抗体推移に関する研究.日産婦誌,1999;51:65- 72.
8) 本田まりこ,他:尿中単純ヘルペスウイルス抗体価測定の 評価.臨床とウイルス,1999;27:428- 435.
4. 性病の診療(検査・治療)費用と保険適応
ここまでで自分が『何の性病』で『いつから検査できるのか』がおおよそ分かったかと思います。次は実際に病院、クリニックに行った時、診療(検査・治療)費用がどのくらいで、保険が効くのか、などご説明します。
診療(検査・治療)にかかる費用は以下の通りです。
性病では多くの病院で検査と同時に治療を行います。
理由としては
- 検査結果が出るまで症状を放置していると患者さんが辛い
- 性病は診察でおおよそ病気を診断できる上に、1回の治療で治癒することが多い
為です。ですので、表でも診療(検査・治療)費用としてまとめています。
確かに便利なサービスですが検査結果の判定は自己責任です。正確さにかける検査の使用、輸送中の温度変化、検査までの時間など不安定要素が多く有ります。また性病と分かったとしても、どう治療して良いのかご自身で判断するのは危険ですしその時点で病院に行っても、結局再検査が必要になります。また無認可で摘発を受けた業者も存在し社会問題になっています。
また薬の個人購入も危険です。インターネットで販売している薬には未認可であったり、表記と全く違う成分が入っていて健康被害も報告されています。多くの性病は検査と同時の1回の治療で完治します。是非、専門医を受診しましょう。
性病は病気ですので保険が使えます。しかし性病においては下記の様に保険を使うデメリットも多くありますので安さだけで決めるのはオススメできません。
では保険を使用した場合と自由診療の場合の費用、メリット、デメリットを詳しく解説します。
4-1 保険を使った場合の診療(検査・治療)費用
性病は公的保険が使えますので、通院回数にもよりますが費用は約5千円〜2万円程度です(肝炎、HIVを除く)。尖圭コンジローマで外科切除を行う場合は3日程度の入院が必要ですので約5万円程度です。
4-1-1 保険を使うメリット
保険を使うメリットは何と言っても費用の安さです。
4-1-2 保険を使うデメリット
・どの性病においても検査結果の確認など再診が必要です。
・処置を行う場合は基本的に入院が必要です。
・医療費通知で会社、家族にバレるリスクがあります。
・保険診療の限界ですが最先端の検査が出来ずに診断に不安が残る場合があります。
・多くの患者様が受診しますのでプライバシーへの配慮はありません。
4-2 自由診療(保険不使用)の場合の診療(検査・治療)費用
自由診療ではクリニック毎に違いますが約3〜10万円程度です。しかし中には30〜60万と高額請求のクリニックも存在しますので注意しましょう。
4-2-1 自由診療のメリット
・多くの治療が単回で終わります。検査結果は電話でお伝えすることも可能です。
・処置でも入院の必要がありません。
・最先端の検査ができます。
・男性器クリニックはプライバシーに配慮してることが多いです。
・医療費通知などありませんので会社、家族にバレるリスクはありません。
4-2-2 自由診療のデメリット
・費用が保険診療に比べ高めです。
・医師に相談できないクリニックがあります。
カウンセラーと呼ばれる男性が説明して医師は2-3分程度の診察、というケースです。ほとんどのカウンセラーは医療の資格などを持たない一般事務員です。性病は診断、治療法の決定など経験と豊富な医療知識が必要になります。医師に相談できるクリニックを選びましょう!
なお国民生活センターへの相談事例でもこの点に関してはたびたび問題になっています。
いかがでしょうか。上記の様に男性器専門のプライベートクリニックは自由診療である為に費用面など不誠実なクリニックも存在しますが、クリニック選びを間違えなければメリットが多くオススメです。
筆者としてはB型肝炎、C型肝炎、HIVは長期の入院が必要になる場合は合併症のリスクを考慮し保険診療の効く総合病院の受診を勧めますが、それ以外の性病に関しては男性器専門のプライベートクリニックをオススメします。
次章ではどの様なクリニックを選べばいいのかご説明します。
5. 学会認定の泌尿器科(もしくは皮膚科)専門医のいる男性器クリニックを受診しましょう
費用について理解が深まり、実際に受診しよう、と思われる方が次に疑問に思うことは、何科、そしてどこのクリニックに行けばいいのかということです。
結論から申しますと、性病の専門は泌尿器科、もしくは一部の皮膚科です。その中でも『学会認定の専門医』はその科のスペシャリストとして一定のレベルが保証される証です。経験豊富な学会認定の泌尿器科(皮膚科)専門医に診てもらうことをお勧めします。
また通常の男性器専門クリニックでは性病に不慣れな科出身の先生も少なくありません。性病は診断を間違うと症状が悪化するだけでなく、誰かに移してしまうリスクも高くなってしまいます。受診するクリニックは慎重に選びましょう!
よく受診を ためらって、症状が酷くなってしまう方から『検査が痛いと思ってなかなか受診できなかった』という声を聞きます。これは勘違いで性病の検査で痛い検査は有りません。検査技術が進んでいますので、尿道に検査スティックを突っ込む必要も有りません。強いて言えば血液検査程度の痛みですが、症状が悪化する怖さに比べたら微々たるものです。
是非、早めに受診して下さいね。
6. 性病と分かったらパートナーも検査しましょう
あなたが性病を発症したのであれば、それは誰かから感染したからです。たとえあなたが治癒してもパートナーが罹患したままであれば、再度性病を発症してしまうリスクは高くなります。また性病と気づく前に他で貰ってきた性病をパートナーに移してしまっている可能性もあります。
放っておくと女性であれば流産のリスクも高まりますし、出産を通して赤ちゃんにも感染する可能性があります。検査して自分が性病と分かればパートナーにもご相談されてください。
7. 性病は早めに専門医を受診しましょう
性病は後ろめたさもあり誰かに相談しにくい病気です。しかし、国内にはその後ろめたさに漬け込み不誠実な診療内容と高額請求を行うクリニックが多く存在します。こういったクリニックでは泌尿器科(もしくは皮膚科)の専門医はまず在籍していません。性病では診断を誤ると、パートナーや家族にまで感染し取り返しのつかない事になりかねません。
福岡のカズ博多クリニック(以下当院)は上記の様な男性器治療をビジネスとして捉えたクリニックのアンチテーゼとなるべく開院した国内唯一の泌尿器科専門医による男性器クリニックです。当院では『学会認定の泌尿器科専門医が男性器治療を医療として正しく行う』をコンセプトに日々診療しております。患者様ごとに適切な提案ができると思います。
また当院はプライベートクリニックですし通常の泌尿器科と違いスタッフも全員男性です。是非お気軽にご相談下さい。
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