『屈曲ペニスの手術ってどんな手術なんだろう』
『費用はいくらで、リスクは何があるんだろう』
『痛いのかな』、『どこで手術できるんだろう』
手術を検討しても分からない事だらけで不安に思われている方も多いのではないでしょうか。
屈曲ペニスの手術は泌尿器科で行われていますが、難易度の高い手術である為、限られた病院・クリニックでしか行なっていません。そのような背景もあってインターネットなどで検索しても正確な情報になかなか辿り着けません。
そこで本記事では日本泌尿器科学会認定の専門医である筆者が屈曲ペニスの手術に関して分かりやすく丁寧に解説致します。
ぜひ手術を検討している方は参考にして下さい。
目次
1. 屈曲(湾曲)ペニスとは
屈曲(湾曲)ペニスとは医学的には『先天性陰茎彎曲(湾曲)症』といって勃起時にペニスが上下左右様々な方向に曲がっている状態を指します。
下のイラストの様にペニスの大部分は海綿体という血管で構成されています。
思春期にペニスが成長する時、大きくなるのは、この海綿体です。そしてその際に必ずしも均一に大きくなるとは限りません。この『海綿体の成長のズレ、アンバランス』が屈曲(湾曲)ペニスの原因です。
ペニスの曲がり方や向きは下のイラストの様に個人差があります。またイラストの『上下』『左右』の曲がりだけでなく、その組み合わせである『左下曲がり』、『右上曲がり』なども少なくありません。
来院された方からよく聞かれるご質問に『マスターベーションのやり方が悪かったのでしょうか』というものがあります。上記した理由をご覧頂ければ、もうおわかりかもしれませんが屈曲(湾曲)の原因は海綿体のアンバランスな成長ですので、マスターベーションの方法は全く関係が有りません。
このペニスの曲がりに気づくのは、マスターベーションを開始する11〜13歳ですが、多くの方は支障が無いため放置します。しかし性行為を意識し始めた頃、自分の勃起時のペニスの形がおかしく性行為を躊躇する方や実際に性行為を試みて上手くいかなくて悩まれる方が多くいらっしゃいます。
2. 屈曲(湾曲)ペニスは手術で治療可能
屈曲(湾曲)ペニスは手術で治療する事が出来ます。詳しく見ていきましょう。
2-1 屈曲(湾曲)ペニスは手術で治せます
屈曲(湾曲)ペニスの手術は海綿体のズレ、アンバランスが原因でしたのでこれを手術以外で治療することは不可能です。手術でこのズレ、アンバランスを修正して上げることが必要になります。
具体的な手術法は後ほど詳しくご紹介しますが、2時間程度の手術ですので日帰り手術が可能です。
この手術は『泌尿器科』で行われていますが、難易度が高い手術ですので手術可能な病院・クリニックは限られています。
2-2 屈曲(湾曲)ペニスの手術の必要性
手術が必要な屈曲(湾曲)ペニスは
- 性行為で障害がある
- 性行為で障害が出る可能性がある
場合です。
具体的に性行為での障害には
- パートナーへの挿入困難
- 挿入できても抜けやすい
- 曲がりのためパートナーに痛みがある
- 体位に制限がある(女性上位は問題ないが正常位で挿入困難など)
が出現します。
そして、これらの性行為での障害は勃起時に12度以上の曲がりで存在する場合が多い為12度以上の曲がりを手術適応との見解です。例えば下のイラストの様に左向きの曲がりであれば左向きに12度以上曲がっているかどうかです。これはどの向きでも大体共通しています。
※参考文献 Nagao et al, ADOLESCENTOLOGY VOL.33 NO.1 2015
また12度以下でも性行為に障害を生じる方もいますので、あくまでも目安です。
2-3 屈曲(湾曲)ペニスの手術に関するメリット・デメリット
本章では、実際に手術をすることで、どのようなメリットやデメリットがあるのか見て参りたいと思います。
メリットやデメリットをまとめると以下になります。
2-3-1 メリット
- 治癒できる確率が非常に高い
- 性行障害が解消され問題なくセックスが出来る
- パートナーの印象が良くなる
- コンプレックスが解消される
筆者が屈曲(湾曲)ペニスの手術を行ってきて、今まで屈曲(湾曲)が改善できなかった方はいらっしゃいません。この手術では手術前にシュミレーションが可能ですので、ほぼ確実に屈曲(湾曲)を改善する事が可能になるのです。
屈曲(湾曲)ペニスの患者様は非常に悩みが深いです。そして手術を受けるのは恥ずかしいし不安が強いので手術へのハードルは低くありません。その為に手術まで何年も悩まれる方が多いのですが、実際に手術を受けると手術は日帰りで可能ですし、上記の様に長年の悩みがほぼ確実に解消できる為、非常に喜ばれる手術です。
2-3-2 デメリット
・ 費用が高い
・ 痛みを伴う
・ 手術なのでリスク・合併症が考えられる
1つ目のデメリットは手術費用です。前章でもお伝えした通り、本手術を行っている病院・クリニックは非常に限られており、手術の難易度も高いことから費用は比較的高額に設定されています。
また手術である以上、痛みやリスク・合併症が存在します。しかし、本手術は日帰り手術が可能で、決して大きな手術ですのでリスクはそこまで高くはありません。
屈曲(湾曲)ペニスの痛みに関しては5章へ
屈曲(湾曲)ペニスで考えられるリスク・合併症に関しては6章へ
3. 屈曲(湾曲)ペニスの手術方法
屈曲(湾曲)ペニスの手術方法には『切る手術』と『切らない手術』があります。
この2つの手術方法のうち根本的な手術でありお薦めは『切る方法』である『スクープアウト・プリケーション法』です。
3-1 切る手術方法:スクープアウト・プリケーション法
この方法は下のイラストの様に屈曲(湾曲)の原因となる部分を見極めた上で、その部分を、一部くり抜いて縫合することで屈曲(湾曲)を改善させる手術です。
実際の手術の流れをご説明致します。
STEP1 麻酔:手術中の痛みを取り除きます
STEP2 デザイン:曲がり具合から、どのくらいの手術操作が必要か綿密にデザインします。
STEP3 切開:亀頭の下で最も傷が目立たなさそうな場所を選んで、1周切開します。
STEP4 ペニスの皮を切り根元に集めて、下のイラストの様にまず曲がっている部分を一部くり抜きます。
STEP5 くり抜いた部分を縫い縮め、手術前のデザインが正しかったのか確認し微調整します。また再発しない様に周囲も補強します。
STEP6 根元に集めていたペニスの皮を戻し傷跡が目立たない様に縫合して手術終了です。
3-2 切らない手術方法:切らないプリケーション法
次は切らない手術方法です。『切る手術法』に比べ再発率は高くなってしまいますが『どうしても切りたくない』、『他に病気がある為、もしくは抗凝固薬(血をサラサラにするお薬)を飲んでいる為、切る手術が受けられない』という方の為の方法です。
手術内容は下のイラストの通り、屈曲(湾曲)の原因となっている場所を糸と針で縫い縮める手術です。
実際の手術の流れをご説明致します。
STEP① 麻酔:手術中の痛みを取り除きます。
STEP② デザイン:曲がり具合から、どのくらいの手術操作が必要か綿密にデザインします。
STEP③ デザインした部分を糸と針で縫い縮めます。
STEP④ 最後に縫った糸を皮の中に埋め込み手術終了です。
屈曲(湾曲)ペニスの手術では入院が必要な場合があります。それは大学病院など総合病院で保険を使用して治療する場合です。
その様な病院ではシムテム上、入院が必要です。ご自分が手術を検討している医療機関は入院が必要なのかチェックしてみて下さい。
4. 屈曲(湾曲)ペニスの手術費用と保険適応
4-1 保険が効く場合
屈曲(湾曲)ペニスは重症の場合保険が効き、その際の手術費用は約15〜18万円です。
しかし屈曲(湾曲)が軽度の場合は保険が効きません。この保険が効くかの判断は医師の裁量により決まりますので、受診してみないと分かりません。また保険を使用して手術した場合は診察代(初診・再診)、検査費用やトラブル時の診察代、検査費用、入院費用、再手術代が追加で必要です。
また保険を使用した場合は上記の様に入院が必要です。
4-2 自由診療の場合
保険を使わない場合、『切らない手術』が約15〜20万円、『切る手術』が約40〜50万円です。これに診察代、麻酔代、お薬代などが追加でかかる場合と、当院の様にトラブル時の診察代、検査費用、再手術代も含め全て手術費用に含まれているクリニックもあります。
5. 屈曲(湾曲)ペニスの手術の痛み
手術を検討した際、痛みは気になるところですよね。
麻酔と手術中の痛みに関しては『切る手術』も『切らない手術』も変わりありません。しかし手術後の痛みは手術方法で変わって参りますのでそれぞれ説明させて頂きます。
以下の表は痛みの程度を各手術法で表したものになります。
5-1 【切る手術の痛み】
『切る手術』でも麻酔(ますい)方法を工夫する事で痛みを最大限取り除くことが出来ます。
痛みを麻酔の痛み、手術中の痛み、手術後の痛みに分けて説明します。
麻酔の痛み:麻酔は注射薬なので注射する時にチクっと痛みが出ます。
この痛みを緩和する以下の様な方法があります。
- 髪の毛程の細い針を使用する
- 約5箇所麻酔しますが、注射の打ち方を工夫することで最初の1箇所以外は痛みを感じない様にできる
- 1箇所目の痛みも避けたい方は静脈麻酔で完全に寝て頂いた後に麻酔の注射を打ち、気付いた時には麻酔が効いている、手術が終わっているといったことが可能
手術中の痛み:基本的に痛みを感じる事は有りません。
手術中は麻酔が効いていますので痛みは有りません。
- 手術中に意識があるのが嫌だ、いつ痛くなるかと不安
- 手術の機械の音を聞きたくない
という方の為にご希望があれば『麻酔の痛み』の項目で記載した『静脈麻酔』を使用して、完全に寝て頂いた状態での手術が可能です。
但し、この静脈麻酔にはデメリットも有ります。麻酔でしばらくボーっとしますので車を運転してのご帰宅ができなくなります。静脈麻酔をご希望の場合は公共交通機関で来院いただく必要があります。
手術後の痛み:『切る手術』では針でつつかれる程度の軽い痛みが数日間続きます。
痛み止めをお渡ししますので通常時はさほど痛みはありませんが、特に勃起時(朝立ちなど)に引っ張られて軽度の違和感を感じます。例えるならば、肘や膝を擦りむいてかさぶたになった時に伸ばすと突っ張った感じがしますよね。この違和感に似ています。次第に軽くなっていきますので心配要りません。日常生活は十分可能です。
5-2 【切らない手術の痛み】
『切らない手術』でも麻酔と手術中の痛みに関しては『切る手術』と同じです。
しかし手術後に痛みは『切らない手術』ではごく軽度です。痛み止めはお渡ししますが使用しない方がほとんどです。
6. 屈曲(湾曲)ペニスの手術のリスク・合併症、手術後の制限
本章では屈曲(湾曲)ペニスの手術で考えられるリスク・合併症と手術後の制限について解説します。
6-1 屈曲(湾曲)ペニスの手術で考えられるリスク・合併症
手術である以上、リスクはゼロではありません。
■ 傷口の感染:頻度は多くありません(300人に1人程度)が、傷が感染する方がいらっしゃいます。その時には抗生物質を投与します。
■ 傷跡:『切らない手術』では傷跡は残りません。また『切る手術』でもくり抜いて縫い合わせた場所はペニスの皮で全て覆いますので分かりません。ペニスの皮を切った場所も経過と共に、かなり目立ちにくくなりますのでご安心下さい。但し手術を行う以上、傷跡を完全に消すことはできません。
■ 神経障害: 下の図の様に神経を避けて手術しますので勃起障害など、筆者自身経験は有りません。縫う場所によっては神経を避ける為に、神経を移動させますので一時的にシビレが残る場合がありますが、時間とともに改善します。
6-2 屈曲(湾曲)ペニスに関する手術後の制限
屈曲(湾曲)ペニスの手術は手術後の日常生活には大きな影響は有りません。仕事の合間に手術し、何事も無かったかのように仕事に戻られる方も多くいらっしゃいます。
しかし『切る手術』の場合、下記事項は術後しばらく控えて頂きます。
■ 飲酒(3日間禁止):血流が増えて出血の恐れがある為
■ シャワー(2日間禁止):皮膚の表面にある表皮の接着に手術から48時間掛かる為
■ 入浴(6日間禁止):浴槽はどうしても清潔とは言えない為、傷の全層(全体)がほぼ接着するまで控えて頂きます。
■ マスターベーション・セックス(2週間禁止):マスターベーション・セックスでは傷に非常に大きな負担が掛かります。傷の全層が完全に接着しこの負担に耐えられるのがだいたい2週間です。
『切らない手術』であれば飲酒・シャワー(当日のみ禁止)、入浴・マスターベーション・セックス(3日間禁止)と手術の侵襲(体へのダメージ)が小さい分、制限も軽いものになります。
7. 屈曲(湾曲)ペニスの手術のクリニック選びでチェックしたい4つのポイント
ここまで屈曲(湾曲)ペニスの手術に関して多くのことを説明させて頂きました。では実際に手術を受けることを決めた時にどの様な病院・クリニックを選ぶべきなのかここではクリニック選びでチェックしておきたい4つのポイントをご紹介します。
7-1 医師が泌尿器科専門医である事
屈曲(湾曲)ペニスの手術ではペニスのかなり深い部分まで操作するために男性器に対する専門的な知識が不可欠です。医師にはそれぞれ専門がありますが、これらの知識が豊富で専門的に診療を行うのが泌尿器科です。
また専門医は手術件数、学会・論文発表などの条件を満たした上で試験に合格しなければ与えられない資格であり、一定のレベルが保証される証です。
屈曲(湾曲)ペニスの手術は泌尿器科の専門医を受診し手術してもらいましょう。
7-2 形成外科医の技術も併せ持った医師である事
2点目は形成外科医の技術も併せ持った医師であることです。屈曲(湾曲)ペニスの手術では機能面への配慮が最も大切ではありますが、美容面にも配慮した細かく繊細な技術も必要です。例えば本手術では糸を多く使用する為、手術後に縫い合わせた糸が触れない様にする技術が必要です。
形成外科医は外科医の中でも顕微鏡を用いた繊細な手術を日々行っており機能面の改善だけでなく、本来あるべき自然な姿を再現する為に美容面も重視してデザイン、手術を行なっています。筆者も形成外科医として髪の毛より細い糸と針で傷跡が最大限残らない様に工夫し数多くの手術を行って参りました。
ポイント1の泌尿器科専門医であり、なおかつ形成外科医の技術も併せ持った医師はかなり限られます。ですので、屈曲ペニスの手術を行う医療機関が限られるのです。
7-3 受診したらカウンセラーではなく医師と相談できる事
美容クリニックでも屈曲ペニスの手術を行っているクリニックがございます。しかし美容クリニックでは医師ではなくカウンセラーと呼ばれる方が手術方法など説明して医師は2-3分程度の診察、というケースが多いです。しかし、ほとんどのカウンセラーは医療の資格などを持たない一般事務員です。
上記の様に屈曲ペニスの手術では解剖学的な知識はもちろん、男性器が持つ『性機能』、『排尿機能』の知識、そして男性器につながる骨盤臓器(前立腺や膀胱など)の知識が必要ですので泌尿器科の医師にじっくり相談する事が重要です。ぜひ医師に相談できるクリニックを選びましょう!
なお手術内容は異なりますが、国民生活センターへの相談事例でもこの点に関してはたびたび問題になっています。
8. 屈曲(湾曲)ペニスの手術に絶対の自信を持つ当院の紹介
福岡のカズ博多クリニックは前項の3つのポイントを満たし日帰り手術が可能な国内唯一の医療機関です(入院が必要な大学病院であればもう1人、前項のポイントを満たす医師がいらっしゃいます)。
説明して参りました通り、屈曲ペニスの手術は大きな手術ではありませんし、非常に喜ばれる手術ではありますが、男性器への深い知識と美容面への配慮など様々な専門性が必要になって参ります。
是非、屈曲ペニスの手術を検討された方は当院へお気軽にご相談下さい。
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