包茎を治したいけど手術は怖い、そんな思いから行き着いた『切らない包茎手術』というワード。切らないで包茎が改善するなら良いなあ、と思いながらも
・本当に治るのか
・デメリットは無いのか、再発しないのか、などと不安になっていませんか?
結論からいうと『切らない包茎手術』での包茎の治療はなかなか難しいです。またリスクの高い治療も積極的にはお勧め出来ません。
では、この様に言う根拠は何なのでしょうか。
本記事では日本泌尿器科学会認定の専門医である筆者が『切らない包茎手術』全3種類を分かりやすく解説するとともに、それぞれのメリットやデメリットから手術費用など、分かりやすく解説します。
切らない包茎手術を考えている、と言う方は是非、参考にされて下さい。
目次
1. 切らない包茎手術とは
切らない包茎手術とは文字通り、メスを使用しない包茎手術の事です。切らない包茎手術には全部で3タイプございますのでそれぞれのメリット、デメリットをご紹介します。
※切らない包茎手術は包皮を剥き亀頭を露出できる仮性包茎の方向けの手術です。真性包茎や包皮輪狭窄型包茎の方は切る包茎手術が必要となります。
では下の表をご覧下さい。
それでは各手術法を詳しく解説していきます。
1-1 糸や接着剤による『切らない包茎手術』
本手術法は仮性包茎の方を対象とした手術法で、糸や接着剤で余剰の包皮をペニスの根元に集める方法です。下のイラストでは糸を使って(当然針を使って糸を埋めるのですが)根元に余った包皮を集めていますが、接着剤では包皮を接着剤でくっつけて包皮を根元に集めます。
糸や接着剤による『切らない包茎手術』のメリット
メリット①: 傷跡が小さい
◆ 糸による固定
糸と針で余剰の包皮を根元側に寄せるだけですので傷は約2mm針穴が数カ所のみです。4箇所程度、固定します。
◆ 接着剤による固定
接着剤による固定では傷はつきません。
メリット②: 術後早期にマスターベーション、性行為が可能
包皮は切りませんので手術当日からでもマスターベーション、性行為が可能です。
糸や接着剤による『切らない包茎手術』のデメリット
デメリット①: 不恰好、不自然な仕上がり
上のイラストにもあります様に余剰の包皮が不自然に根元に寄せられ不恰好です。
デメリット②: 包茎に戻るリスクが高い
上記した様に本手術は糸や接着剤で固定されているだけですので勃起や性行為、マスターベーションなどで引っ張られ、糸が切れたり接着剤が取れたりと包茎に戻ってしまうリスクが非常に高いです。
デメリット③: 包茎の悪化
通常、ペニスの伸び縮みに伴って包皮も伸び縮みします。しかし、この手術法ではペニスの皮を根元に集めて固定していますので勃起、マスターベーション、セックスに伴い少しずつですが、無理やり伸ばされてしまいます。その結果、糸が切れ、元に戻った場合に包茎が悪化する可能性があります。
1-2 亀頭への異物注入による『切らない包茎手術』
次にご紹介するのは亀頭にヒアルロン酸などの異物を入れて亀頭を大きくし、包皮が亀頭に被らない、亀頭に戻らないようにするというものです。
1-2-1 亀頭への異物注入による『切らない包茎手術』のメリット
メリット①: 手術時間が短い
注射でヒアルロン酸を注入するだけなので施術時間は5分程度と短時間で終了します。
1-2-2 亀頭への異物注入による『切らない包茎手術』のデメリット
亀頭に異物を入れる行為はとてもリスクが高くお薦めできません!デメリットを分かりやすく解説していきます。
デメリット①: 亀頭が壊死(腐って)してしまうリスクがある
一番の問題は『壊死』です。ヒアルロン酸などの異物が血管の中に入ってしまうと塞栓(そくせん)を起こします。つまり血液の流れを塞いでしまうのです。そうすると血液の流れが止まってしまい栄養が行き渡らず腐ってしまうのです。ペニスは海綿体という血管の集合体で形成されていますので非常に危険です。
写真は実際に他院でヒアルロン酸注入を受け壊死してしまった方です(あまりにも悲惨なので加工しています)矢印の部分が壊死で溶けてしまった部分ですまるで囲った部分も壊死しており全周性にいびつな形になってしまっています。
実際に訴訟(例① 産経ニュース、例②弁護士ドットコムニュース)も複数起きています。
デメリット②: 亀頭がいびつになってしまう
亀頭にヒアルロン酸などの異物を注入する場合、亀頭冠(いわゆるカリ)に注入します。これは先端に近づけば尿道があり危険だからです。ただ、この亀頭冠の部分だけ増大しますし、注射で入れていくので滑らかには膨らまずいびつな形になってしまいます。
デメリット③: 亀頭がデコボコになってしまう
注入したヒアルロン酸はいずれ吸収されますが、その速度は均一ではありません。つまり吸収過程で吸収されやすい場所、されにくい場所と差が出てきます。その差がデコボコとなり修正術の依頼も多いです。また吸収されにくいだけならいいのですがヒアルロン酸はカプセル化し吸収されずしこりとして残ることもあります。
また最近は吸収されにくい異物を注入するクリニックも多く見かけます。しかしこの異物は上記の『壊死』の危険性が更に高くなってしまうので注意しましょう。
デメリット④:そもそも包茎は改善しない
そもそも亀頭にヒアルロン酸などの異物を注入しても包茎は改善しません。
亀頭に注入できるのはどんなに多くても10ml程度です。10mlとはヤクルトの1/6にも満たない量です。そんな量では亀頭は上の写真の様に凸凹になるだけで包皮が亀頭に被らなくなるぐらい大きくなることは有りません。
では、もっと多量に注入すれば良いのでは?と思われるかもしれませんが10ml以上注入したら、注入したほぼ全員の亀頭が壊死してしまいますので悪徳クリニックもさすがにそんなに多量には注入しないのです。
以上の様に、亀頭を含めペニスに異物を入れる行為はとてもリスクが高く、メリットは皆無です。絶対にやめましょう!
1-3 靭帯を結ぶ長茎術による『切らない包茎手術』
最後にご紹介する方法は靭帯を結ぶ長茎術でペニスを長くして包茎を改善する、というコンセプトの『切らない包茎手術』です。ただコレ机上の空論に過ぎません。詳しく解説して参ります。
まずは下のイラストをご覧下さい。
長茎術はペニスの根元にある靭帯(じんたい)を『むりやり』お腹の皮ふと糸で固定する方法です。靭帯は骨にしっかり固定されていますので動きません。ですので、伸び縮みしやすいお腹の皮ふと固定することでお腹が凹みます。この凹んだ分、相対的にペニスが長く見えるのです。
つまり本当はペニスが長くなっているのではなくお腹が凹んだだけです。
1-3-1 靭帯を結ぶ長茎術による『切らない包茎手術』のメリット
メリット①:傷跡・早期に性的活動が可能
『切らない長茎術』は切らない、つまりメスを入れないので
- 傷跡が小さい
- 術後早期にマスターベーション、性行為ができる
といったメリットが有ります。
長茎術を受けられる方にとって術後早期に性行為ができる、というのは大きなメリットです。しかし残念ながらデメリットが非常に大きいので次章でしっかり見て行きましょう!
1-3-2 靭帯を結ぶ長茎術による『切らない包茎手術』のデメリット
デメリット①:そもそも長くなってないから包茎は改善しない!
上記の様に靭帯を結ぶ長茎術はペニスが長くなっているのではなくお腹が凹んだ事で相対的にペニスが長くなっている様に見えるだけです。つまり実際にはペニスは長くなっていませんのでもちろん、包茎は改善しません。
そもそも、ペニスが長くなったとしても、その分包皮も伸びますので包茎は改善しません。
デメリット②: 違和感や痛みがずっと残る
この手術では靭帯を無理やり糸で結んでいるので違和感や、痛みを強く感じます。実際にこの手術を他のクリニックで施行し、痛みを訴えた患者さんの固定した糸を除去するケースは多いです。
2. 『切らない包茎手術』がオススメな人
『切らない包茎手術』はデメリットが多いので、オススメはしません。しかし敢えて言えば、この手術法に向いている人は『何が何でも切りたくない人』です。
一時的でもいいから糸や接着剤で包茎を改善したい。もしくは、切る包茎手術に踏み切る為に包茎が改善したらどの様になるのか試してみたい、という方は切らない包茎手術を試されてもいいかもしれません。
4. 『切らない包茎手術』の手術費用
『切らない包茎手術』はクリニックもよりますが、約3〜30万円(ホームページ記載の料金表で大手クリニック5院を比較)で平均は12万円でした。
クリニックによって手術方法の名前は多少異なりますが、手術内容は本記事でご紹介した方法で、クリニックによって大きな差は無さそうです。
5. 泌尿器科専門医オススメの包茎手術
切らない包茎手術は以上のようにあまりお薦めできるものではありません。
包茎は
・包皮口が狭い(真性包茎、包皮輪狭窄型包茎)
・包皮の余り(全ての包茎)
が原因です。ですので余ってる包皮を切除する必要があるのです。
泌尿器科の専門医として最もオススメの包茎手術法は『亀頭下環状切開法』です。この手術法は環状切開を改良した方法で、『ツートンカラーや手術後の腫れを最小限で抑え、早期に自然な仕上がりを実現できる方法』です。
まず、なるべくツートンカラーにならない様に切除範囲をデザインします。次に、包皮には皮下組織という腫れの原因となる組織が殆どない場所がありますので、その場所の近くで手術をする為、腫れも最小限で済みますし、性感を落とさずに済むのです。
当ブログを運営するカズ博多クリニックではこの『亀頭下環状切開法』を採用しています。上記の様に通常、泌尿器科医は機能面を重視し、美容面は考えません。この方法は泌尿器科医が行う機能面重視の『環状切開法』に、形成外科医として美容面も重視した当院オリジナルの方法です。
6. 包茎は泌尿器科専門医へ
6-1 包茎手術はクリニック選びが重要
包茎は女性看護師さんの存在・入院の必要性・ツートンカラーになってしまう事を避ける為に美容・包茎クリニックを受診する方が多くいらっしゃいます。しかし、こういったクリニックの中にはご紹介した様なリスクの高い手術であったり、高額請求を行う様なクリニックも多く存在します。そして、その多くが包茎治療を『包茎ビジネス』と捉え、医師ではなく企業が経営するクリニックです。
6-2 カズ博多クリニック
福岡のカズ博多クリニック(以下当院)はこの様なクリニックのアンチテーゼとなるべく日本泌尿器科学会認定の専門医の院長が開院したクリニックです。当院では院長が在籍しておりました聖路加国際病院・京都大学附属病院にて行われている包茎手術の術式(手術法)を基本とし、そこに形成外科医としての美容面に配慮した上記の様にリスクが少なく術後早期に自然な仕上がりを実現できる亀頭下環状切開法で手術を行なっています。
また泌尿器科専門医による男性器クリニックは国内唯一です。通常の泌尿器科とは違い、スタッフも全て男性ですのでお気軽にご相談下さい。
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