早漏の根本的な原因は『ペニス自体が敏感なのか、精神的に敏感なのか』です。
早漏に悩む方は全男性の20〜30%に上ります。早漏だとパートナーがオーガズムに達する可能性を半分にしてしまうことが分かっており海外では治療を受けるのがスタンダードになっています。しかし日本では性に対してオープンな文化が無く早漏で治療を受ける方も少なく、認可されているお薬も有りません。
国内では、そういった現状を逆手に取った、効果が無いばかりかリスクの高い治療が横行しています。
本記事では泌尿器科専門医が早漏の原因と治療について医学的根拠に基き、わかりやすく、丁寧に解説します。
早漏に悩んでいる方は是非参考にして下さい!
目次
1. 早漏の原因
早漏の根本的な原因は
・ペニス自体が敏感
・精神的に敏感
ですが、さらに7つに分類されます。
ではそれぞれを詳しく解説していきます。なお、医学的にはペニス自体が敏感である早漏は『身体的早漏』として、精神的に敏感である早漏は『心因性早漏』まとめて取り扱い、以下の様な分け方はしません。結局治療法が同じである為です。今回はわかりやすい様に敏感である理由別に分類し名称をつけております。
1-1 身体的早漏:ペニスが敏感
ペニスが敏感な方は、感じやすいのでどうしても早漏になってしまいます。そしてこういった方の場合は『精神的に敏感である早漏』と違いセックスの相手、状況などによって早漏かどうかは変化しないのも特徴です。
ではそれぞれどういった理由でペニスが敏感になっているのか見ていきましょう。
1-1-1 包茎性早漏
包茎では敏感な亀頭が包皮(ペニスの皮)で守られていますので、セックスで外部に露出し、刺激を受けることで普段から外部の刺激を受けている包茎ではない方に比べ早漏になってしまいます。
1-1-2 若年性早漏
次が若年性早漏です。ペニスの感度は年齢を重ねるにつれて落ちていきます。生まれた時にはみんな包茎ですので感度もMAXですが、体の成長と共にペニスも成長し包茎でなくなったり、毎日洗ったり、オナニーしたり、セックスしたりと外部からの刺激を受け続け徐々に感度は落ちていくのです。
しかし包茎ではないにしても10〜30代であればまだまだ感度が高く早漏になってしまう方がいらっしゃいます。
1-1-3 草食男子早漏
もう1つ最近増加しているのが草食男子早漏です。恋愛に億劫でセックスする機会もないし風俗も行かなければオナニーもしない、そういった男性ではちょっとした刺激で射精してしまいます。
1-1-4 老人性早漏
最後が老人性早漏です。最近こそアクティブシニアは増加していますが、草食男子早漏と一緒で普段刺激を受ける機会がなければちょっとした刺激で射精してしまいます。
1-2 心因性早漏:精神的に敏感
次が精神的に敏感な早漏で医学用語では『心因性早漏』と呼ばれます。セックスの相手、状況によって早漏かどうかは変化することが多いのが特徴です。
1-2-1 過剰な興奮による早漏
セックスをする時の状況で、もしくはセックスのパートナーが好き過ぎて過剰に興奮してしまい早漏になってしまうケースです。
・他の人では大丈夫なのに奥さんとのセックス時だけ早漏
・元カノは問題なかったのに新しく付き合った彼女とのセックスでは早漏
・自宅では大丈夫だけど特定の場所でのセックス時だけ早漏
などが例としてあげられます。
1-2-2 セロトニン不足による早漏
セロトニンは脳内の神経伝達物質です。ストレスなどでセロトニンが不足することで早漏の原因になると言われています。
① セックスへのトラウマ、緊張、不安
一度何らかの理由で早漏を経験してしまうとそのトラウマからその後も早漏に陥ってしまうケース。またセックスへの緊張、不安、トラウマから早漏に陥ってしまうケースもあります。この様なケースではそれぞれのストレスからセロトニン不足となり早漏になってしまいます。
② 日常生活でのストレス、うつ病
セックスに関連しない仕事、家庭、人間関係の悩みでストレスを感じセロトニン不足となり早漏になってしまうケースもあります。またうつ病でもセロトニン不足となってしまうので早漏になってしまいます。
心因性の早漏の原因は千差万別で一概には言えません。上記以外にも、その方だけが抱える悩みから早漏に陥るケースも少なくありませんのでまずは気軽に医師に相談してみるといいかと思います。
よくEDが早漏の原因として記載されているサイトを拝見しますが、EDは早漏の原因にはなりません。早漏の方のなかでEDを合併している方が3割ほどいるのでこの様な勘違いが生まれるのです。
実際に早漏とEDを併せ持つ方にEDの治療を行いましたが早漏の改善は認めませんでした。
但しこの2つを併せ持つ方はED治療薬を飲むことで弱い刺激でも勃起するので早めに挿入ができ、
早漏の対策にはなります。
いかがでしたでしょうか。
身体的、心因性と順に見てまいりました。しかし早漏の方の中には、両方を合わせ持つ方もいらっしゃるので注意が必要です。
2. 根本的な治療法は手術のみ
続いては治療法です。早漏の治療法で代表的なものに手術以外に薬物療法と行動療法がありますが、薬物療法は国内では未承認である事、行動療法は手間と時間がかかる割に効果がいまひとつです。実際に根本的に早漏の治療となると手術のみになります。
手術と言っても日帰りで出来る様な手術です。手術には2種類有り、包茎の方はまず包茎手術をご検討頂き、包茎でない方は包皮小帯切除術をご検討下さい。なお、治療法は身体的、心因性、いずれでも大きくは変わりません。しかし心因性である場合、まずは心理的なカウンセリングを受け、それでも効果を認めない場合に下記の治療法を検討することをお勧めします。
2-1 包茎手術
包茎を治療することで早漏を改善することが出来ます。
包茎では敏感な亀頭が包皮(ペニスの皮)で守られていますので、性行為で外部に露出し、刺激を受けることで普段から外部の刺激を受けている仮性包茎ではない方に比べ早漏になってしまうからです。
大人(15才以上)の包茎治療は基本手術のみです。他のサプリであったり、自力、強制器具を検討する方もいらっしゃいますが効果が無いばかりか、リスクも高いので絶対に避けて下さい。
包茎手術のハードルは低くは有りませんが、実際に手術された方の満足度はとても高いのでぜひ検討されて下さい。また、包茎を治療すべき理由は早漏だけではありません。仮性包茎・カントン様包茎・真性包茎と包茎の各種類毎に詳しくまとめていますので、是非ご覧下さい。
2-2 包皮小帯(裏スジ)切除術
包茎では無いけど早漏で悩んでいるという方に包皮小帯(裏スジ)を切除し少し敏感さを軽減する手術です。簡単な手術で10分と掛かりません。包皮小帯には少量ですが性感を感じる神経が通っていますので、そこを切る事で早漏の治療になります。
様々な美容・包茎クリニックのサイトに包皮小帯に神経が集まっているから…と記載がありますが、神経が集まっているのは包皮小帯の表面ではなくもっと深い部分です。その証拠に包皮小帯(裏スジ)だけつまんでも何にも気持ちよくないと思います。
3. 対処法
早漏に対して治療法として有効と言えるのは手術しかありません。しかし、どうしても手術は避けたい方の為に、治療ではありませんが3つ対処法をお教えします。
まずはこれらを試してみて頂いて、その後に手術を検討されても良いかもしれません。
■ 意識を他に向ける
■ 一度動きを止める
■ セックス前にマスターベーションを行う
なおこの3つの対処法について詳しく別記事(【泌尿器科の専門医が徹底解説】早漏の治し方9選 〜対処法から治療方法まで〜)に記載していますので参考にされて下さい。
4. 絶対に避けるべき危険な治療法
早漏治療は自由診療が中心になる為、残念ながら不誠実な医療が高額で行われています。下記の3つの治療は早漏の治療として絶対に避けたい治療方法です。注意して下さい。
4-1 ヒアルロン酸などの異物注入による亀頭増大
ペニスの中でも敏感な部位である亀頭にヒアルロン酸などの異物を注入し敏感さを低下させるという処置です。この治療では下のイラストの様にかなりいびつな形になってしまいます。しかし避けるべき理由はそれだけではありません。
この手術を避けたほうがいい理由①:ペニスが腐ってしまう
下記イラストの通りヒアルロン酸は血管の中に入ってしまうと塞栓(血管が詰まってしまうこと)を起こします。そうすると血液の流れが止まってしまいペニスが壊死(腐って)してしまうのです。亀頭を含めペニスは海綿体という血管の集合体で形成されていますので非常に危険です。右の写真(加工しています)は実際に美容・包茎クリニックで亀頭にヒアルロン酸を注入し壊死してしまった患者様です。矢印の凹んでいる部分が壊死してしまった部分です。また黒い丸で囲まれた部分も壊死しており亀頭全体が腐ってしまっています。
今年も千葉にある美容クリニックで増大手術を受けた男性が、塞栓による壊死が起こりペニスが一部しか残らず排尿困難となったとして提訴しました。(因みにこの様な訴訟は今年だけでも検索すれば他にもヒットします)
もちろん可能性としては高いとは思えませんがこの様なことになっては悔やみきれません。
この手術を避けたほうがいい理由②:亀頭がデコボコになってしまう
注入したヒアルロン酸はいずれ吸収されますが、その速度は均一ではありません。つまり吸収過程で吸収されやすい場所、されにくい場所と差が出てきます。その差がデコボコとなり修正術の依頼も多いです。また吸収されにくいだけならいいのですがヒアルロン酸はカプセル化し吸収されずしこりとして残ることもあります。上の写真は実際に他院で亀頭にヒアルロン酸を注入された方の写真です。
また最近は吸収されにくい異物を注入するクリニックも多く見かけます。しかしこの異物は上記の『壊死』の危険性が非常に高くなってしまうので注意しましょう。
4-2 神経切断術
次が神経切断術です。包皮小帯(裏スジ)切除術と原理は一緒ですが神経そのものを切断しますので、敏感さが軽減するどころか、感じなくなってしまう危険があります。
また手術をしてしまうと元には戻れない為、絶対にやめましょう。
4-3 インターネット販売による薬物療法
上記の薬物療法のお薬が日本で未承認の為、インターネットで個人購入をする方がいます。しかしインターネットで購入した薬の成分が思っていた薬とは全く異なった成分が入っており亡くなった方もいます。また早漏で使用する薬は扱いがとても難しいお薬で様々な有害事象(重大事件に至るほどの攻撃性・自殺念慮・精子に与える影響)がありますので個人で購入するのは絶対に止めましょう。
早漏は『射精障害』という病気です。病気であれば医師による診察、治療が必要になりますので多くのサイトにある様なマニュアル、動画を購入しても改善は困難です。
5. まずは気軽に専門医に相談して下さい
早漏の治療では上記の様にペニスが腐ってしまうかもしれない治療を行なっている美容・包茎クリニックが多数存在します。彼らは早漏の治療をビジネスとしてしか捉えておらず、上記の症例写真の様な被害に遭う患者様は少なくありません。
福岡のカズ博多クリニックはその様なクリニックのアンチテーゼとしてありたいという意思から産声をあげたクリニックです。泌尿器科医、形成外科医として手術歴10年以上、男性器の施術は5000例以上の経験を持つ院長が早漏の治療を担当しています。また泌尿器科専門医による男性器クリニックは国内唯一です。通常の泌尿器科とは違い、スタッフも全て男性ですので、悩んだらまずはお気軽にご相談下さい。
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