

平山 和秀
カズ博多クリニック院長 / 医師
熊本大学医学部卒業後、聖路加国際病院を経て京都大学泌尿器科に入局。
泌尿器科専門医・指導医、がん治療認定医、ロボット手術ダヴィンチ免許を取得し、泌尿器科診療を行う傍ら形成外科医として美容医療にも徒事。
『男性器治療をビジネスから医療に』をコンセプトにカズ博多クリニックを開院。悩みを抱える男性が最良の治療を受け、豊かな人生を謳歌できるよう、日本男性器学会を立ち上げ理事を兼任。
岡田 希望
広報 / 薬剤師
調剤薬局薬剤師を経験後、広告代理店にて広告制作に従事。
現在は『キレイにむけたね』広報を担当の他、SaaS企業で広報・マーケティングを支援。
男の子の母として、育児と仕事の両立に奮闘中。

前編では、男の子のデリケートゾーンの基本的なケア方法 について、泌尿器科医の平山先生にうかがいました。
「そもそも洗うだけで大丈夫?」「自然に剥けるの?」「親が剥いてあげるべき?」など、気になる疑問にお答えいただきながら、正しい洗い方のポイントをお伝えしました。
後編では、さらに一歩踏み込んで、
- デリケートゾーンにもスキンケアは必要?
- ケア方法やアイテムの選び方
- 正しくケアしないと起こり得るトラブル……
といった内容を詳しく解説します!
おちんちんにスキンケア……!?

「スキンケア」と聞くと顔や体を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、実は男の子のデリケートゾーンも乾燥や刺激を受けやすい部分。
適切なケアをすることで、肌トラブルを防ぎ、より快適に過ごせるようになります。
どのタイミングで、どんなことをするの?
男の子のおちんちんにもスキンケアが必要なのでしょうか?
平山先生:
「絶対に必要というわけではありませんが、肌トラブルを防ぐために保湿ケアを取り入れることは有効です。
特に、汗や尿、摩擦の影響を受けやすい部分なので、乾燥やかゆみを防ぐことで快適に過ごせます。肌が敏感なお子さまや、かゆみが出やすい子にはスキンケアをおすすめします。」
どのタイミングでスキンケアをするのがいいですか?
平山先生:
「基本的には、お風呂上がりやおむつ替えのあとがベストです。肌が清潔な状態で保湿することで、汚れが残りにくく、刺激も抑えられます。」
具体的には、どんなケアをすればいいのでしょうか?
平山先生:
「お風呂のあとにやさしく水分を拭き取り、デリケートゾーン向けの保湿剤を塗るのが基本のケアです。肌が敏感なお子さまや、かゆみが出やすい場合は、日常的に取り入れることでトラブルを予防しやすくなります。」
どんなスキンケアグッズを使うべき?
どんなものを選べばいいですか?
平山先生:
「デリケートゾーンに使うなら、以下のポイントをチェックして選ぶといいですね。
- 低刺激 → できるだけ添加物の少ないもの
- 保湿力 → 適度にうるおいをキープできるもの
- 伸びがよく、なじみやすい → 肌に負担をかけずに塗れるもの
また、赤みやかゆみが気になるときは、抗炎症成分が入ったものを選ぶと安心です。」
どんなタイプのものがいいですか?
平山先生:
「クリームタイプのものが使いやすいです。ローションタイプはすぐに乾いてしまうことがあるので、デリケートゾーンの保湿にはクリームのほうが適しています。」
デリケートゾーンのスキンケアは、いつまで続けるべきですか?
平山先生:
「特に決まりはありませんが、トラブルを予防するためには、成長してからも習慣的にケアを続けるのが理想です。
小さいうちからスキンケアを当たり前のこととして身につけておくと、大人になってからも自然とケアができるようになります。」
岡田:
「スキンケアは特別なことではなく、毎日のちょっとした習慣が大切なんだと改めて感じました。
『洗うだけ』で終わらせず、保湿までしっかり取り入れることで、お子さまのデリケートゾーンをすこやかに守っていきたいですね。」
おちんちんをケアしないとどうなる?

「絶対に必要というわけではないなら、やっぱり何もしなくていいのでは?」と思う方もいるかもしれません。
でも、ちょっとしたケアを取り入れることで、防げるトラブルもあります。
ここでは、気をつけたいポイントについて、平山先生にうかがいました。
起こりうるリスクやトラブルを教えて
ケアをしないと、どんなことが起こるのでしょうか?
平山先生:
「最も多いのは炎症(亀頭包皮炎)ですね。包皮の中に汚れがたまりやすく、洗い残しがあると細菌が繁殖し、赤みや腫れ、かゆみ、痛みを引き起こすことがあります。」
亀頭包皮炎になると、どんな症状が出るんですか?
平山先生:
「軽い場合は赤みやかゆみ程度ですが、悪化すると膿が出たり、排尿時に強い痛みを感じることもあります。ひどくなると病院での治療が必要になり、抗生剤を使わなければならないこともあります。」
ほかに気をつけることはありますか?
平山先生:
「包皮の癒着が強くなるケースもあります。本来、成長とともに少しずつ剥がれていくはずの包皮が、炎症を繰り返すことで傷がつき、そのまま固まってしまうことがあるんです。」
それをそのままにしておくと、どうなりますか?
平山先生:
「包皮が強くくっついたままだと、思春期になっても剥けにくくなり、真性包茎になることがあります。
真性包茎になると、排尿がしづらくなったり、不衛生な状態になりやすくなったりするため、大人になってから手術が必要になることもあります。」

将来のコンプレックスや性行為への影響も
子どものうちは気にならなくても、成長してから困ることはありますか?
平山先生:
「思春期になると、自分の体に対する意識が高まり、デリケートゾーンの見た目を気にするようになります。
剥けにくいまま成長すると、周囲と比べて不安を感じたり、人に相談しづらくなったりして、コンプレックスにつながることもありますね。」
見た目以外に影響はありますか?
平山先生:
「はい。包皮がスムーズに動かないと、排尿しづらくなったり、炎症を繰り返しやすくなったりすることがあります。
また、強い癒着や真性包茎の場合、大人になってから手術を受けることになり、身体的・精神的な負担が大きくなってしまうこともあります。」
性行為に影響することもあるんですか?
平山先生:
「ありますね。包皮の動きがスムーズでないと、痛みを伴ったり、性交がうまくできなかったりすることがあります。
さらに、不衛生な状態が続くと、雑菌が繁殖しやすくなり、自分だけでなく、パートナーの健康に影響を与えることもあります。」
具体的にどんなことが起こる可能性があるのでしょうか?
平山先生:
「例えば、包皮の内側に汚れがたまりやすい状態が続くと、炎症を起こしやすくなりますし、においの原因にもなります。パートナーにうつる可能性のある感染症のリスクも高まるため、清潔を保つことがとても大切です。」
そうならないために、今からできることはありますか?
平山先生:
「小さいころから清潔を心がけることが大切です。無理に剥く必要はありませんが、日々の洗浄や保湿で清潔な状態を保つことが、トラブルの予防につながります。」
岡田:
「小さいころからのケアって、実は将来の健康にもつながっているんですね。
『まだ子どもだから大丈夫』と思いがちですが、ちょっとした習慣の積み重ねが、成長してからの安心につながるんだなと感じました。」
子どもとお風呂に入らなくなる前に

お子さまと一緒にお風呂に入る時間は、成長とともに少しずつ減っていきます。
小学校に上がるころには、「もうママ(パパ)とは入らない!」なんて言われることも珍しくありません。
だからこそ、親がケアを手伝える時期に、正しいケアの方法を伝えておくことが大切です。お風呂の時間をうまく活用しながら、少しずつ習慣にしていきましょう。
正しいケアを毎日の習慣にしよう!
どんなふうに習慣づければいいですか?
平山先生:
「まずは、お風呂の時間を活用して、自然に取り入れるのがおすすめです。
『顔を洗う』『歯を磨く』と同じように、『デリケートゾーンを清潔にする』ことも、日々の習慣にできるといいですね。」
どんな声がけをすればいいですか?
平山先生:
「『おちんちんも、やさしく洗おうね』『痛くない範囲で動かしてみよう』など、シンプルでやさしい言葉をかけてあげるのがいいですね。
最初は親が一緒に洗い方を教えながら、少しずつ子ども自身ができるように促していきましょう。」
子どもが自分でケアできるようになることが大切

どのタイミングで、子どもに任せるべきですか?
平山先生:
「個人差はありますが、目安としては小学校に入るころから、少しずつ自分で洗えるようにサポートするとよいでしょう。
『お風呂のときに自分で洗ってみようか?』と声をかけながら、見守ってあげるのがポイントです。」
ちゃんとできるか不安です。
平山先生:
「最初はうまく洗えないこともあります。『お湯で流すだけでもいいから、触ってみよう』といったステップを踏んで進めていくと、無理なく習慣化しやすいですね。
完全に任せる前に、『ここはこう洗うんだよ』と具体的に伝えてあげることが大切です。」
岡田:
「お風呂で繰り返すうちに、自然と『洗うのが当たり前』になっていくんですね。最初は親が手伝いながら、少しずつ任せていけば、自分でできるようになっていくんだなと感じました。
息子には、自分の体を大切にする意識を持ってほしいですし、その習慣が将来も続いていくといいなと思います。限られたお風呂の時間の中で、無理なく伝えていきたいですね。」
困ったときは『キレイにむけたね』

男の子のデリケートゾーンのケアについて、ネットや口コミではさまざまな情報が飛び交っています。しかし、中には根拠のないものや、逆効果になってしまう内容も少なくありません。
『キレイにむけたね』では、泌尿器科医と薬剤師ママが医学的に正しいケア方法を発信し、ママやパパが無理なく実践できるようサポートしていきます。
「どこまで洗えばいいの?」「せっけんは使っても大丈夫?」
そんな疑問に寄り添いながら、お子さまの体を守るために本当に必要なケアをお届けします。
泌尿器科ドクターと薬剤師ママが伝える、男の子のケアの大切さ
平山先生:
「私のクリニックには、大人になってから男性器の悩みを抱えて来院される方が多くいらっしゃいます。その中には、子どものころに適切なケアができていれば、手術を受けずに済んだかもしれないケースも少なくありません。
もっと早く正しい情報が届いていたら……と思うことがよくありますね。」
岡田:
「女の子の生理については学校で学ぶ機会があるのに、男の子のデリケートゾーンのケアについては、ほとんど教わる機会がないんですよね。
その結果、親がどう対応すればいいのかわからず、不安を抱えたままになってしまうことも多いのではないかと思います。」
平山先生:
「そうですね。デリケートな話だからこそ、誰に相談すればいいのかわからず、一人で悩んでしまうこともあるかもしれません。でも、特別なことをする必要はなく、毎日のちょっとした習慣で、大人になってからのトラブルを防ぐことができます。
まずは過度に心配せず、正しい知識を知ること。そして、無理なくできる範囲でケアを続けてもらえたらと思います。」
岡田:
「子どものころからの小さな積み重ねが、大人になってからの健康や自信につながるんですね。『まだ小さいから大丈夫』ではなく、成長を見守りながら、今できることを無理なく取り入れていくことが大切だと感じました。
『キレイにむけたね』では、男の子の体を大切にするための正しい情報を、やさしく、わかりやすく発信していきます。」
私自身も、息子と一緒に学びながら、ママやパパが迷わずケアできる環境づくりをサポートしていきたいと思います!